インターネットマーケティングにはダイレクト・レスポンス・マーケティングの理解が欠かせません。
どうしてかというと、インターネットは打ち手のすべてを計測できるのが強みで、ダイレクト・レスポンス・マーケティングは計測と改善で効果を高めていく販売手法だからです。
つまり顧客の反応を見ながら、効果的な施策を打てる。もっと簡単に言うと、メディアと販売手法の相性がとても良いのです。
というわけで、ぜひダイレクト・レスポンス・マーケティングを覚えましょう。
「なんか難しそう」
そう思いましたか? 大丈夫。安心してください。
まずは13のキーワードを覚えるだけで十分です。これだけでも全体的なマーケティングのイメージが掴めるようになるはずです。
ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)を理解する13のキーワード
あなたも聞いたことのある言葉が含まれているかもしれませんね。これらがダイレクトレスポンスで重要なキーワードです。
- ダイレクト・レスポンス・マーケティング
- イメージ広告とレスポンス広告
- リスト(顧客リスト)
- リード(見込み客)
- オファー(取引条件)
- 1ステップ・マーケティングと2ステップ・マーケティング
- フロントエンド(集客商品)とバックエンド(利益商品)
- CPO(顧客獲得コスト)
- LTV(顧客生涯価値)
- 成約率
- テスト
- セールスレター
- セールスライティング
ダイレクト・レスポンス・マーケティング
「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」とは、直訳すると「直接・反応・販売活動」で、簡単に言うと、特定の顧客に向かって呼びかけ、購入や登録などの行動(反応)を促す販売手法や企業活動のことです。
ダイレクトレスポンスマーケティングに取り組む企業の例として、ベネッセやファンケルが行う事業活動を考えるとわかりやすいです。
両者に共通するのは顧客との関係性構築ビジネスを行っているということです。
例えばベネッセで見てみると、
- 妊娠・出産を控えるママたち・・・「たまごクラブ」
- 乳児・幼児・・・「こどもちゃれんじ」
- 小学生・中学生・高校生・・・「進研ゼミ」
といった具合に、対象となる顧客と関係性を継続しながら顧客の成長に応じて適切な商材を提供しています。そして、これがけっこう売れるんです。
そもそも顧客との関係性構築ビジネスを行う理由は至ってシンプルで、
- 新規客を獲得するよりも顧客との関係性維持のほうがコストがかからないから
- そして関係性の強い顧客のほうが商品を買ってくれるから
これに尽きます。
イメージ広告とレスポンス広告
「イメージ広告」はソフト・セルとも言われ、間接的に販売を促す広告です。それに対して「レスポンス広告」は直接、販売を促す広告です。
言い換えると、「イメージ広告」が特定の対象者に何かを伝えることを目的としているのに対して、「レスポンス広告」は伝えたうえでさらに行動(反応)を起こさせることを目的としています。
わかりやすい例として、
イメージ広告・・・トヨタ自動車やソフトバンクなどのテレビCM
レスポンス広告・・・ジャパネットタカタやQVCなどのテレビCM
ソフトバンクのお父さん犬を見たからといって「スマホを買わなくちゃ!」とはならないですよね。でも、ジャパネットタカタやQVCはすぐに買ってもらうことを前提にCMを展開しています。
リスト(顧客リスト)
ビジネスにおいて最も価値があるのは顧客だ。私たちは顧客を獲得するためにビジネスをしている。
とも言われるくらいに重要なのが顧客です。そして、その顧客情報をまとめたものを「リスト」と言います。
「見込み客リスト」や「購入者リスト」、メルマガ読者などのリストは「ハウスリスト」、「自社リスト」と呼んだりします。「ウォームリスト」と「コールドリスト」といった具合にリストの反応度合いで呼び分けることもあります。いずれにしろ、それぞれの違いはリストの質です。
①リストとあなたの関係性
一般的に、リストの数が多いほどビジネスや売上は安定します。そのときに大きく影響するのがリストの質です。なぜなら、購入実績のない「見込み客リスト」と、すでにあなたから買っている「購入者リスト」では売り込みを行ったときの反応が全然違うからです。
すでにあなたから買っているというのは、あなたを信頼してお金を払っているということ。買ったことがある人とない人との差はすなわち信頼の差、これがものすごく大きいのです。売るものの価格が高くなればなるほど、この差がどんどん広がっていきます。
例えば、購入実績のない見込み客リスト1万人に対して3000円の商品を「買ってください」とお願いしたとします。そこで0.1%の反応があったとすると10人が買ってくれたことになり、3万円の売上です。
ところが購入者リスト1万人に売り込んだところ、2%の反応がありました。ということは200人が買ってくれて、60万円の売上です。
けっして大げさではなく、リストとあなたの関係性で反応と売上が大きく変わってきます。これをリストの質と言います。
②リストと商品やサービスの関係性
また、ガリガリに痩せている100万人にダイエット関連の商品を売り込んでも反応は0%に近いはずです。これは、リストがあなたの商品に興味も関心もないからです。そういう人にどれだけ売り込んでもまったくと言っていいほど売れません。
これもリストの質になります。
リード(見込み客)
「リード」とは、将来お客さんになりそうなすべての人のことを言います。同じような意味で「プロスペクト」という言葉もありますが、こちらはもっと範囲が狭く、資料請求や商談依頼があるなど購入の見込みが高い人を指す言葉です。
ダイレクトレスポンスマーケティングでは「購入者」と「それ以外」で区別して「リード」という言葉を使うのが一般的です。
リードに関係して「リードジェネレーション」という言葉があります。これはリード(見込み客)を集める活動のことで、「リード広告を出す」とか「リードジェネレーション広告を出す」なんて言います。
ここでは商品やサービスの売込みを一切せず、あくまで興味や関心のあるすべての人を集めることにフォーカスして行われます。
よくある間違いで、リードジェネレーションと商品販売がごちゃ混ぜになった広告がありますが、見込み客集めと販売はまったく別の仕事です。
例えば、クルマの性能でパワーと燃費は両立しませんよね? どっちつかずの広告は結局のところ、どちらの力も弱めてしまい、効果が半減してしまいます。
オファー(取引条件)
「オファー」とは、売り手と買い手の取引条件のことです。
あなたもこんなオファーをよく見かけるのではないでしょうか?
- 一つ買うと、もう一つ無料でプレゼント
- 2つ以上買うと、合計金額からさらに10%OFF
- 4人で利用すると、そのうちの1人が無料
このほかにも、
- お試しサンプルを差し上げます
- 資料請求で粗品プレゼント
- メルマガ登録してくれたら、無料レポートを差し上げます
などがあります。
特徴として、オファーが強ければ強いほど、つまり買い手にとって有利な条件であればあるほど、反応はよくなります。
でも、「Tシャツを1枚買うと、もれなくハワイ旅行がついてきます」といった、あまりに強すぎるオファーは胡散臭く感じられてしまい、かえって反応されなくなります。
信頼性とのバランスを考えてオファーを強めましょう。
1ステップ・マーケティングと2ステップ・マーケティング
これはダイレクトレスポンスで行う、マーケティングの基本的な2つの型になります。
1ステップ・マーケティングは広告で直接商品を売るやり方で、2ステップ・マーケティングは最初にリード(興味がある人)を集めて、関係性を強めてから売るやり方です。
商品やサービスにもよりますが、単価の安いものは広告を見せて1ステップで売ることができても、クルマや家などの高額な商品は売り手と買い手に信頼関係がないとめったに売れません。
そのような商品の場合はコミュニケーションを重ねて、信頼関係を築いてから売るといった、2ステップのほうがスムーズにいきます。
フロントエンド(集客商品)とバックエンド(利益商品)
「フロントエンド」とは、見込み客を集める商品のことで「集客商品」とも言います。「バックエンド」は利益を上げるための商品で「利益商品」とも言います。
①フロントエンドの目的
「フロントエンド」の目的は顧客獲得であって、利益を出すことではありません。できるだけ多くの人をリストに入れることが目的なので、サンプルを配ったり、低価格な商品を販売します。そこで獲得したリストと関係性を深めて利益商品であるバックエンドの販売につなげていきます。
ところが「フロントエンド」は売るのが難しいという特徴があります。どうしてかというと、見込み客の獲得はとにかく競争が激しいからです。大量の広告と売り込みがあふれている中で、自分の広告を目立たせるのは大変ですし、見込み客は売り手に自分の情報を提供することにとても慎重です。
あなただって、売り込まれると分かっている相手に自分の連絡先を渡すのは少なからず抵抗を感じますよね。
だから、サンプルや低価格商品を使って、できるだけ購入のハードルを下げてリストに入ってもらうようにします。
フロントエンドを売る段階では、見込み客との信頼関係が築けていません。コミュニケーションを重ねることでリストを暖め、関係性が深まったところでようやくバックエンドの販売に移ります。
②バックエンドの目的
「バックエンド」の目的は利益を出すことですが、一般的にはフロントエンドに比べて販売が簡単です。なぜならフロントエンドを通して、一旦は売り手を信頼したからです。そしてコミュニケーションを重ねることで信頼関係が強化されていくので次の商品が売りやすくなるのです。
そのうえ、「バックエンド」の販売には新規客を獲得するような広告予算を必要としません。ダイレクトメールを発送するとか、販売活動のコストは必要ですが、広告費の観点で見るとゼロ。つまり、バックエンドは新たに広告費をかけなくても売った分だけどんどん利益に変わるという特徴があります。
例えば、初めて入るレストランには緊張しても、2回目からはそんなに不安を感じないのではないでしょうか? 料理が美味しかったり、サービスに満足していれば「また行ってみようか」と思うはずです。
飲食店の例で言えば、リピート客とリピート回数を増やすことが収益化の鉄板パターンです。それなのにコミュニケーションが足りないためにリピートが増やせないケースが驚くほど多いです。バックエンドを販売しようとしない、つまり利益商品を売ろうとしない、とてももったいない状態ですね。
CPO(顧客獲得コスト)
「CPO」は、Cost Per Order(コスト・パー・オーダー) の略で顧客獲得コストを意味します。
新規客を獲得(リードジェネレーションから最初の販売まで)するのに、いくらコストがかかっているかを表す数字、指標です。
この数字が低いほうが利益が大きくなります。
LTV(顧客生涯価値)
「LTV」は、Life Time Value (ライフ・タイム・バリュー)の略で顧客生涯価値という意味です。
顧客生涯価値とは、一人の顧客があなたとの取引の全期間においてもたらす粗利益の平均額のことです。
ダイレクトレスポンスマーケティングでは、この LTV が非常に重要になります。なぜかというと、先ほどの CPO にいくらまでかけられるかがはっきりするからです。
例えば、LTVが10万円であれば、CPOには10万円をかけてトントン。CPO がそれ以下であれば、差額が利益になります。なので CPO にいくらまでかけて、利益をいくら残すといった戦略が立てられます。感覚ではなくて、数字で証明できるのがダイレクトレスポンスマーケティングの強みです。
それと、ここで注意しなくてはいけないのが顧客生涯価値の期間です。
どういうことかというと、例えば年間1万円の利益をあげてくれるお客さんがいたとします。仮に、20年間、毎年1万円ずつ儲かるとすると顧客生涯価値は20万円になります。
もし、お客さんを1人獲得するのに10万円かかったとしても顧客生涯価値が20万円なので差し引き、10万円儲かった! となります。
でも、問題は顧客獲得コストの回収期間です。
顧客獲得コストの10万円を回収するのに10年間もかかるわけです。当然、回収するまでの10年間は赤字が続くことになります。これだと、だいぶキャッシュがしんどいことになりますよね。中小企業や個人事業であれば、かなりキツイのではないでしょうか?
数字のうえでは利益が出るけれどキャッシュが回らない。そう考えると、顧客獲得コストの回収期間とあなたのビジネスの体力を考えてシミュレーションしたほうがいいでしょう。
成約率
当たり前に聞こえますが、大事なキーワードは「成約率」です。
例えば、10000人にダイレクトメールを送ったとして100人が買ってくれれば成約率は1%ということになります。
ダイレクトレスポンスマーケティングでは、フロントエンド(集客商品)を売る場合、成約率が上がると CPO(顧客獲得コスト)が下がります。
仮に、広告費に10万円をかけて10人のお客さんを集めていたところ、成約率が上がって20人集めたとすれば CPO は10000円から5000円まで下がったことになります。
バックエンド(利益商品)の成約率が上がれば LTV(顧客生涯価値)が上がり、全体の売上も上がります。
どういうことかというと、バックエンドは既存のお客さんに売り込むので見込み客の分母は変わりません。LTV は1人のお客さんが一生涯にいくらの粗利益をもたらすかの平均額なので、総売上を見込み客の数で割る、つまり成約率が上がって総売上が増えても見込み客の数は変わらないので、LTV が上がることになります。
もう少し、具体的に言いましょう。
例えば、既存のお客さん10000人にダイレクトメールを送ったところ、100人が買ってくれて20万円の売上になった。それが成約率が2倍になって200人が買ってくれたとしたら、売上も2倍の40万円。
でも送った人数は同じ10000人なのでコストは変わらない。ということは、単純に LTV は上がる。それどころか、広告コストはゼロなので利益で見れば何倍にも増えていることになります。
このように成約率を上げることはダイレクトレスポンスマーケティングに取り組む上でとても重要なポイントになります。だから成約率はとても大事なキーワードです。
テスト
「テスト」。 このキーワードもとても重要です。
ダイレクトレスポンスはお客さんの反応によって打ち手を変えるマーケティング手法。インターネットはリアルタイムに、正確に打ち手の結果を計測できるメディア。
なので、打ち手の要素を変えてテストを繰り返せば基本的には結果も良くなります。(打ち手はすべて改善策なので、、)
じつのところ、どんなに効果が見込めそうな施策も、どれだけ経験豊富な一流のプロが取り組んだとしても、実際にやってみないと結果はわかりません。結局は、確実な約束などあり得ないので、数字をもとにテストを繰り返していくしかないのです。
成約率の重要性はすでに学びました。
あとはダイレクトレスポンスのセオリー通り、小さくテストして成約率を上げてから広告予算を増やして売上を大きくしていきます。
仮に、あなたが100万円の広告予算すべてを使ってダイレクトメールを送ったとします。
成約率が0.5%で50万円の売上なら、単純に50万円の赤字です。これは大失敗と言えるでしょう。
でも、最初に2万円だけ使ってテストを5回繰り返し、成約率を2%に上げてから残りの90万円を投入したらどうなるでしょうか。
テストの売上は別にしても、180万円の売上が上がることになります。売上ベースでみれば80万円のプラスです。
そう考えると、限られた予算で売上と利益を最大化するのであれば、どれだけテストが重要であるかがよくわかるはずです。
セールスレター
次のキーワードは「セールスレター」で、直訳すると売る手紙です。
これは営業マンや販売担当者がお客さんと対面で販売するのではなく、文章で直接販売するという意味です。
Salesmanship in Print(印刷されたセールスマン)
この言葉に象徴されるように、セールスレターを使う最大の利点は一度に何人ものお客さんに売り込みをかけられるということです。
1万人にセールスレターを送れば1万人に、10万人に送れば10万人に、という具合に人数に制限なく同時に販売活動をすることができます。
さらにインターネットメディアを活用することで、
Salesmanship Multiplied(増殖されたセールスマン)
の出来上がりです。
セールスレターを地球の裏側までだって、ほんの一瞬で届けることができるようになりました。
セールスライティング
次のキーワードは「セールスライティング」、つまり売るために書くです。
ダイレクトレスポンスマーケティングではセールスライティングというスキルが重要になってきます。これはセールスコピーを作るというスキルです。
セールスコピーを「書く」ではなく「作る」としたのには重要な意味があります。というのも、セールスライティングに求められるスキルは想像力で人を楽しませたり、驚かせたりする文章術ではないからです。それを読んで泣いたり笑ったりしてもらう必要もありません。
セールスライティングとは読み手をその気にさせて、読み手に行動してもらい、読み手に商品やサービスを売るための販売術のことです。そのために過去に売れたコピーなどの素材を使って文章を組み立てていく作業になるのです。(英語圏では、write ではなく build なんて言われたりします)
このライティングスキルはセールスコピーだけでなく、
- ブログ
- ランディングページ
- メルマガ
にも応用できます。
ここ数年ではインターネット上で動画を使ったマーケティングが増えていますが、販売力の動画コンテンツには必ずと言っていいほどライティングスキルが関係しています。
なぜなら、動画を撮るときに使うスクリプト(台本)だって、すべては文字情報で作られているからです。(映画でも、TVドラマでも、台本が必要ですよね、、)
何かしらのプレゼンテーションであっても、反応の取れるものはセールスライティングの要素が盛り込まれています。(詰まるところ、プレゼンテーションだって単なる売込みですからね、、)
まとめ
これまでダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)を理解する13のキーワードを説明してきました。
実際に聞いてみると、そんなに難しくはなかったのではないでしょうか。
もしあなたが少ない予算で効果的なマーケティングを行いたいというのであれば、ダイレクトレスポンスの基本をおさえて、インターネットを使いましょう。顧客の反応を見ながら、効果的な次の打ち手を指せるので、費用対効果の高い販売活動が行えるようになります。
というわけで、まずは13のキーワードを覚えましょう。これだけでもマーケティングの全体的な流れが掴めるようになります。
そうすれば、自分でやるにしても、誰かに任せるにしても、あなたの大事な時間や予算を無駄にしないで集客や販売の仕組みを作れるようになりますよ。
【無料レポート】「インターネット集客の教科書」
そんな怒りにも似た気持ちで、私はこのレポートを書きました。
いつも思うのは、 「インターネットを使えばもっと簡単にできるのに」ということ。
事実、見込み客だけでなく取引先や従業員まで、あなたのビジネスに関係 するすべての人をもっと簡単に集めることができます。それもあまりお金 をかけずに、です。
インターネットを使えば資金力のある大企業とだって戦えます。
というよりも、インターネットを使わないと勝負になりません。 潤沢な資金のある大企業があなたのテリトリーに攻め込んできら、まず 太刀打ちできないでしょう。