「熱々のピザを30分以内にお届けします。もし、遅れたらお代はいただきません!」
おそらく、あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか?
そう、ドミノピザの有名な宣伝文句ですよね。これはマーケティングにおいてUSPと言われるものです。
ビジネスをするうえでUSPの理解は絶対に欠かせません。なぜなら、モノやサービスがあふれる現代において、競合との差別化は不可欠だからです。その上、強いUSPはあっという間にあなたのビジネスを成長させてくれます。
だから、あなただけのUSPを見つけましょう。でも間違えないでほしいのが、USPは他にはない独自の”強み”ではないということです。
ではUSPとは一体何なのか?
これからあなたにUSPの本質と、あなただけのUSPを発見する方法、USPの理解に役立つ6つの成功事例をお話します。
本当の意味でUSPをあなたのビジネスに取り入れて、ビジネスを大きく成長させましょう。
目次
USPとは何か?
USPとは、Unique Selling Proposition の頭文字を取った言葉です。
それぞれの言葉の意味は、
- Unique・・・独特の、独自の
- Selling・・・売り
- Proposition・・・提案
つまり、(お客様へ)独自の”売り”を提案することになります。
これは1960年代にアメリカのコピーライターであるロッサー・リーブスが提唱した概念です。1940年代に成功した様々な広告キャンペーンを調査したところ、成功した広告には共通する要素があることをリーブスが発見したのが始まりです。
著書「Reality in Advertising」のなかで、リーブスはこのように話しています。
1.広告は顧客への提案でなければならない:単なる言葉の羅列や宣伝文句ではなく「この商品を買えば、こういう利益を手にする」と伝えるべきだ。
2.その提案は独自のものであること:競合が同じ提案をできない、あるいはしないもの。
3.提案は強力であること:大衆を動かす力がある提案をする。
リーブスが広めてから50年以上経ちますが、今でも重要な概念として、USPは多くのマーケティング活動に使われています。それどころか、モノやサービスがあふれる現代だからこそ、競合との差別化にUSPが欠かせなくなっているのです。
よくある誤解とUSPの本質
誤解されやすいのは、USPは他にはない独自の”強み”ではないということです。
例えば、「他社では売っていません。がんの特効薬を売っているのはウチだけです」と言えるのであれば、絶対的な強みであり、市場に対しての優位性になります。でも、そういうことではありません。
最初にお話ししたドミノピザの例でいえば、“30分以内の配達”も、“できなければ代金をもらわない”も、決してドミノピザにしかできないことではありませんでした。(やろうと思えば、競合にもできる戦略ですよね?)
でも、実際にやったのはドミノピザだけです。ドミノピザだけが独自の価値として顧客に”強く提案する”ことで顧客の心をがっちりと掴んだのです。
競合が同じようにできることであっても、マーケットに強く宣言(提案)することで優位性を築くことができる、ここにUSPの本質があります。
USPで成功した企業の成功事例6選
これからUSPで成功した企業の成功事例を6つご紹介します。おそらく、だれもが知っている企業とUSPではないでしょうか?
- ドミノピザ
- M&Ms
- アップル
- Fedex
- 稲葉製作所
- QBハウス
ポイントは、6つの成功事例のUSPが絶対に競合が真似できない強みではないという点です。
ドミノピザ
「You get fresh, hot pizza delivered to your door in 30 minutes or less - or it’s free!」
これはドミノピザの有名なUSPの原文で、私が一番好きなUSPです。というのも、誰にでもわかりやすいうえに、”ダメなら無料” という強力な約束を示しているからです。(ちなみに、最も有名なUSPなのでマーケティングを学ぶときに必ず紹介される、鉄板ネタです)
この戦略のすばらしさは、宅配ピザの到着時間に不満をもつお客様に狙いを定めたことです。その反面、美味しさを求めるお客様をばっさりと切り捨てる戦略でもあります。
当時の飲食業界において、味よりもスピードだ!という宣伝は店側にとってかなり勇気のいることでした。そして、時間を守れなかったらタダにする、とみんなにはっきりと約束したのです。
お客様が求めている価値を先取りして、大胆にターゲットを絞り込み、強力な保証を約束して販売する。それも、大きな声でみんなに聞こえるように。そして、あっという間に全米中にビジネスを展開していった、、、ホント、シビれますね!
そして、ここからが大事なところです。
しばらくすると成功したドミノピザを真似る競合がどんどん現れます。そして30分で配達される宅配ピザが一般的になってからというもの、ドミノピザの優位性はどんどん下がっていきます。
つまりUSPは真似できない強みではないので、常に磨き続けなければ競合が追いかけてくるということです。
M&Ms
「お口でとろけて、手にとけない( Melts in your mouth, not in your hand )」
じつは、このキャッチコピーがUSPの元祖だといわれています。
もともとM&Msのチョコレートは、アメリカ陸軍の兵士たちから「口の中で溶けて、手に溶けないチョコレートを開発してほしい」というリクエストから開発されました。つまり、顧客のニーズに応えたもので、「チョコが溶けるのは当たり前」で終わらせてしまったら、M&Msのチョコレートは生まれてこなかったわけです。
これで兵士たちは、暑い夏でもポケットの中に忍ばせたチョコレートが溶けずに食べられるようになりました。
ところが喜んだのは兵士たちだけではありません。
このUSPはじつにわかりやすく、“子どもが手を汚さずに食べられる”とアメリカ中の母親たちから支持されたのです。母親公認のチョコレートなので、子どもたちも喜んで食べますよね。
アップル
「ポケットに1,000曲のミュージックライブラリを(1,000 songs in your pocket)」
アップル社が2001年に最初のiPodを発売したときの製品のスローガンです。
じつは、ポータブルミュージックプレイヤーはアップルのiPodが初めてではありませんでした。
あなたもご存知の通り、Sonyは1980年代にすでにウォークマンを発売していたし、MP3プレーヤーだってiPodが発売される前から別の会社で発売されていて市場に出回っていました。だから、iPodが特別目新しいものでもなかったんです。
では、なぜiPodが爆発的に売れたのか?
もう分かりますよね。
キャッチコピーの、ポケットに1000曲もの音楽が入る(小さくて、持ち運びに便利)という価値観に誰もが共感したからです。
じつは当時、そして現在でもアップル製品は、驚くほどパフォーマンスが高い、なんてことはないんですよね。競合のほうがよっぽどハイスペックで低価格だったりします。
でも、価値を提案するのがどこよりも優れている。だから、みんな、アップルの製品こそ自分の求めているものだと考えるようになるのです。
つまり、優れたUSPがあれば、自分よりもずっと優秀なライバルを簡単に打ち負かすことができるということなんです。
Fedex
「お客さまの大切なお荷物を、安全に、そして1日で確実にお届けします(Safe, reliable overnight delivery for your important packages)」
じつは、Fedex は世界で5番目に多く、航空機を保有している会社だって知っていましたか?
Fedex は、セスナなどの小型機からボーイング777といった大型機まで660機以上の航空機を保有しています。これは貨物航空会社としては世界最大、旅客航空会社を含めても世界で5番目に大きな規模です。(2017年8月、確認時点)
ちなみに、JALの保有数は約190機。ANAで約270機なので日本のすべての航空会社を足しても Fedex のほうが航空機の数は多いでしょう。
ところが、Fedexは乗客を取ることをしません。
これだけの保有数なので旅客機としても使えばもっと利益が出るはずなのに、、、
なぜだと思いますか?
それは、Fedex が貨物航空会社だからです。
つまり、Fedexの USPは「お客さまの大切なお荷物を、安全に、そして1日で確実にお届けします(Safe, reliable overnight delivery for your important packages)」であり、USPに合わないことはしないのです。
Fedexが運送業界で確固たる地位を確立し、世界最大手にまで成長した最大の理由は、このUSPを頑なに守ったからです。言い換えれば、お客様との約束を守り通しているということです。
自分に、そしてマーケットに合った、強いUSPであれば目先の利益に惑わされ、飛びつくことなく、確実に成長できるという見本ですね。これが成長への近道なのかもしれません。
稲葉製作所
「100人乗っても大丈夫」
このメッセージでCMが制作されたのは1987年。
ご存知の方も多いのではないでしょうか?
物置の上に実際に100人が乗っている映像は、誰が見ても、一目で頑丈さが伝わるものでした。しかも、シンプルなメッセージなので覚えやすい。というより、一度聞いたら忘れられない!
厚い鉄板を用いた堅牢な製品だとか、荷重試験や雨水侵入試験など厳しい耐性試験をパスしている、なんて言われるよりも、「100人乗っても大丈夫」のほうが商品のイメージや価値が伝わりますよね。
QBハウス
「お客様が出来ないこと『カット』のみに特化したサービスを提供するヘアカット専門店です。お客様のカットに要する時間は、約10分。価格は、1,080円(税込)にて提供いたしております」
それまでは、床屋さんは安くても3,000円かかる。頭を洗ってもらって、ひげを剃ってもらって、仕上がりまで1時間ほどかかるのが一般的でした。でも、QBハウスはカットだけ。たったの10分で、価格は1,000円(税抜)という大胆なUSPで理容業界の常識を打ち破りました。
そして、年間1600万人が利用する一大フランチャイズチェーンを築き上げただけではなく、カットのみ、短時間、低価格という新しいマーケットを生み出しました。
今では、そこら中にカットのみ、短時間、低価格を売りにしたお店を見かけますよね。
あなたのビジネスのUSPは?
これまでUSPで成功した企業の具体例を見てきましたが、あなたのUSPは何でしょうか?
USPと言えるまでのカタチにしていないとしても、あなたがお客様に提案できる価値は?
USPは大企業だけのものではなく、飲食店や美容院などの店舗ビジネスや税理士や個人の会計事務所などが競合と差別化するのに欠かせないものです。あなたに競合が多いほど、お客様に向けて強い存在感を示す必要がありますよね?
独自の強みがあれば競合に対して優位になりますが、ほとんどの場合、独自の強みを作るには独自の商品やサービスを開発したり、技術力や資本力を必要とすることが多くなります。
だから、あなたのビジネスが競合に負けないくらい、とても強固な独自の強みを持つのでない限り、USPを作ることを真剣に考えなければいけないのです。
繰り返しになりますが、ドミノピザは町の小さなピザ屋から、あっという間に全米ナンバーワンのピザチェーンに成長しました。
お客様に提案できる、自分の強みや価値が分からない時は?
もし、あなたがお客様に提案できる自分の強みや価値がわからないときは、
- なぜ、あなたと付き合っているのか?
- なぜ、あなたの店に何度も足を運ぶのか?
- なぜ、あなたから買い続けるのか?
これらの質問をお客様にしてみて下さい。
あなたを応援してくれるお客様やあなたのお得意先であれば、あなたが気付いていないあなたの強みを知っていたり、あなたが強みと思っていなくても周りの人から見ればそれが強みだった、なんてことを教えてくれたりします。(自分のことがよくわからなかったり、周りの人と自己評価が違うことってありますよね?)
強みや価値がわかれば、あとはマーケテイングの基本に従って、見込み客を絞り込んで価値の提案と約束をつけるだけです。
大事なのは、単なる言葉遊びに終わらせないで一生貫き通す、あなたとお客様との大切な約束と考えることです。
まとめ
USPは、他にはない独自の価値を提案のことです。決して、他にはない独自の強みではありません。
強いUSPを作ることは、単にお客様を集めるだけでなく、あなたのビジネスの行動指針として大きな価値をもちますよ。
さあ、さっそく探しましょう。
あなたはお客様にどんな価値を提案しているのか?
【無料レポート】「インターネット集客の教科書」
そんな怒りにも似た気持ちで、私はこのレポートを書きました。
いつも思うのは、 「インターネットを使えばもっと簡単にできるのに」ということ。
事実、見込み客だけでなく取引先や従業員まで、あなたのビジネスに関係 するすべての人をもっと簡単に集めることができます。それもあまりお金 をかけずに、です。
インターネットを使えば資金力のある大企業とだって戦えます。
というよりも、インターネットを使わないと勝負になりません。 潤沢な資金のある大企業があなたのテリトリーに攻め込んできら、まず 太刀打ちできないでしょう。